【目黒区長選に向けて】緊急財政対策とは。

こんにちは! 芋川 ゆうき です。

4月に控えている目黒区区長選挙ですが、

これに関して、みなさんにも情報提供をしたいなと思いました。

いくつかに分けながらお伝えしたいと思います。

今回は、目黒区が2010年から行いました「緊急財政対策」についての内容になります。

この記事は元区議を7期行いました共産党の森区議(現区政研究者)が記事として書いています。

とても分かりやすい内容になっていますのでぜひ、ご覧になっていただければと思います。

緊急財政対策とはいったい何だったのか

 2010年11月5日の東京新聞と読売新聞に、目黒区「プレス発表」の記事が載った。「歳入が100憶円減」「23区最悪の財政」「40憶円も区税を1人で払った人がいた」(その影響で)「財調交付金も(3年間)減る」「公園5か所の購入費394憶円」の返済(公債費)という理由をセンセーショナルに書きたてた。「目黒ショック」である。

「目黒区って赤字なんでしょ」-いまなお、多くの区民が

 街であった人との会話の中で、「目黒区って赤字なんでしょ」という言葉が返ってくる。その数が、いまもなお、多いのだ。
 2019年度は、区税収入が466憶円(史上最高・3月補正)。積立金が535憶円(史上最高・3月補正)、財政調整基金が226憶円(史上最高・3月補正)。2017年度の黒字(実質収支)は48憶円で史上最高、2018年度は40憶円で史上3番目である。2019年の実質収支(5月速報値)も史上最高レベルの黒字となるだろう。
 これらが実数地であり、多くの区民は、区財政の状況について「誤解」している。

緊急財政対策とはいったい何だったのか

1 区民不在で決め、議会も軽視、トップダウンで強行

 緊急財政対策の経緯は、トップダウンそのもので、区民の声を無視し、「非常事態」だから「区長権限」を発動するという形で進められた。
 区長は、自らを本部長とした緊急財政対策本部を、2010年9月29日設置した。
 第1弾の取り組みを、2010年11月9日議会運営委員会に報告した。その内容は、区立第4特養ホーム延期(のちに中止)、東山小改築延期(請負業者の入札不調が続き10憶円予算増)、箱根保養所廃止(区民のささやかな楽しみだった)など36事業27憶円の延期・縮小・廃止である。
 企画経営部長は、第1弾で急場は凌げたが、なお2013年度は20憶円、2014年度は59憶円の赤字がでる。「第2弾、第3弾の事業見直しを行っていく必要がある」と強調した。
 第2弾として、2011年5月18日、区議会に「緊急財政対策にかかる具体的取り組みについて」を報告した。
 その内容は、削減目標額は3か年類型180憶円。施設使用料や保育料値上げ。団体補助金、各種助成、貸付金。新規採用の抑制。特別職・管理職・一般職員の給与、報酬(区長はさっさと復元した)、時間外手当の削減。学芸員や歯科衛生士など少数専門職の削減。上目黒福祉工房、箱根保養所、JR跡地など土地の売却。地震の学習館、美術館、歴史資料館を保有すべきか検討。体育施設、社教施設、図書館、男女共同参画センターのあり方の検討。児童館、学童保育、福祉施設、老人いこいなどの配置・運営の見直し、などである。

2 「区の財政見直しは偽だ」-区職労が財政見直しを対置

 区は緊急財政対策の根拠となる財政見直しを公表した。区税収入1%の伸びを見込んだ。つまり、2011年5月時点で区税収入が上向くことを知っていたのだ。しかし、区は、この年3.11東日本大地震が発生したため、その影響で4か年間(2012~2015)は、368憶円のまま横ばいで推移するとした。
 区民の暮らしや福祉の予算を180憶円削減する緊急財政対策の財政見通しに対し、各方面から異論が提起された。
 区当局は、歳入総額の見通しを、
929憶円(2012年度)、
851憶円(2013年度)、
818憶円(2014年度)、としたのに対し、
区職労は
929憶円、
890憶円、
890憶円(2014年度)、とする見通しを発表した。
 決算の結果、歳入総額は
921憶円(2014年度)だった。区職労の見通しでさえ31憶円も控えめだった。区は103憶円も外れた。財政見通し論争は、労組に軍配で決着した。

3 緊急財政対策やらなくても赤字にはならないことを区は知っていた

 本格的に全庁的な大リストラ計画となる第2弾を打ち出した2011年5月時点で、例月出納検査から区税収入の増加傾向を区はすでに把握していた。決算の結果、区税収入は、
380憶円(2010年度)から
384憶円、
386憶円、
403憶円、
438憶円(2014年度)まで回復した。
 実施収支は、史上最高レベルの黒字が続いた。
2011年度39憶円(史上最高)、
2012年度43憶円、
2013年度37憶円、
2014年度32憶円。
 青木区区長は、史上最高レベルの黒字が続く中で、「赤字」から「基金不足」に口実を切り替え、住民福祉の増進に背を向け続けたのである。


4 区民を守るために基金を積み立てるという区長の考えは正しいか

 歴代区長は、バブル崩壊の時期でさえ、経常経費の削減規模は年間10憶円程度にとどめた。一方、青木区長の途方もない「行革」は年間40憶円である。
 しかも、区民を守るために区民犠牲で基金を増やすという矛盾があった。2014年9月の決算質疑で、区民への負担増やサービス削減を次々に進めて、基金をため込むというのが本当に区民のためになると考えているのかと質問した。区長答弁は、受益者負担は当然だ。1746自治体のうち夕張市と泉佐野市の2市だけが赤字だから、黒字で当然だ。だが37憶円を大幅な黒字だと思っていない。23区比較しても基金残高が少ないので、区長としての責任で積み増ししている、という内容だった。
 自治体がお金を住民のために使わずに史上最高の積立基金を積み上げていることが問題になってきた。2015年調査時点で、2003年比で2倍以上の自治体は、全国で60程度だが、目黒区は2.3倍となっていた。2019年度は実に4倍である。

区は削減した暮らしの予算を復元し、財政力を暮らし福祉最優先に

 「緊急財政対策」「財政健全化」の名のもとに進められた区民生活切り下げは、3年間の対策が「一区切りついた」後も、ほとんどが復活されていない。

1 区は831事業130憶円カットした

 全体的にきめ細かく再調査し、必要なものから順次元に戻し、厳しさを増す区民の暮らしを応援すべきである。主なものだけ例を挙げれば以下の通りである。
 保育料無償化の時代に、保育料を値上げし、保育園児一人当たり年3蔓延、保護者負担増の総額は1億円を超えた。学童保育料値上げは、一人当たり年2万4000円、総額は1500万円。ひとり親家庭宿泊・日帰り施設助成の復活。
 介護保険料を値下げした数区にならい引下げを。高齢者や障害者のおむつ代の自己負担導入や高齢者配食サービスの再見直し。障害者理美容サービスや敬老記念品料の復活。リフト付き福祉タクシーの再見直し。箱根強羅保養所の廃止に見合う手厚い福祉の復活。
 施設使用料の値下げ。地域活動団体登録制度の見直しで登録団体数が半減していることに対する対応。
 国保料連続値上げをやめ、区独自に子どもの均等割軽減すること。
 滞納対策一元化を止め元に戻すこと。実態をよく把握せずに税や保険料を差押するのをやめること。
 母子支援施設、「地震の学習館」の廃止などへの対応が求められている。
 施設の修繕費の削減で学校施設もボロボロ状態であり必要な予算措置をすべきである。
 耐震診断助成は、診断費用の60%助成に一部改善したが、無料に戻すこと。

2 緊急財政対策として加速した職員削減

 緊急財政対策の第3弾ともいえる追加職員削減案が示された時、企画経営部長は、削減額の目標総額は、5憶円を加えて185憶円になったと言った。
 東日本大震災の教訓から、高齢者、子育て、障害者にかかわる福祉職員を初め、命や暮らしを守る公務員の重要な役割が改めて浮き彫りになった。
 ところが、3年間に200人以上の常勤職員の削減と民間活力の活用を目指し、各分野で職員不足問題が露呈した。
 技術系職員の抑制は、技術の継承を困難にしている。施設の老朽化対策、豪雨対策や震災対策にも、今後、支障を来すことが懸念される。
 社会教育館では、正規職員8名が削減され、館長及び事業担当の指導員も不在になり、利用者の相談に即応できない事態になっている。サービスの低下は著しく、全国的にも質の高い目黒区の社会教育行政を台無しにし、社会教育館を単なる貸し館に変質させることになりかねない。
 図書館職員14人が削減されたため、一部の図書館で開館時間が縮小された。恒常的に職員がいないため、相談機能のレベルも下がった。図書館職員の削減と3館で開館時間を短縮したことに大変な苦情と反対運動が起きた。図書館は本の貸し出しだけではなくて、蔵書や資料を充実させる、そしてあらゆる相談に的確に対処する役割を持っている。
 区立保育園7園の廃止・民営化や調理業務の委託化、保育の質を軽視した区立保育園・学童保育クラブの廃止・民営化に怒りの声が広がっている。
 職員削減を優先する区政運営は、区民サービスの低下のみならず、区民の権利を侵害することになる。削減した職員を必要に応じて復活するべきである。

3 「小さい政府」か「大きい政府」か

 区は、「財政健全化」アクションプランと称して緊縮財政を進めてきた。総務省の財政健全化指標が示している判断は、すべてが「健全」という判断である。
 泉佐野市や岸和田市の行政視察の時、自民党の議員が、目黒区の財政が危機的だと話し出すと、視察先の説明員が、地方交付税の不交付団体の23区、なかでも財政力のある目黒区と比較のしようがないほど大阪泉洲は厳しい財政危機に陥っていると異例の反論が返ってきた。目黒区の「財政危機」に根拠がないことを客観的に勉強する機会だった。
 財政力指数は23区で4位である。持てる財政力を区民のために使うことこそ区民福祉の向上の課題が山積する下で、区民の希望にこたえる道である。

 待機児が毎年増え続け、待機時対策よりも緊急財政対策を優先したため、待機時対策が手遅れになったにもかかわらず、「対応はきちんとやっていると自負している」と言い切った青木区長の感覚に疑問が深まる。
 「生活の向上と安全のため」と称して、生活と安全を脅かす財政支出や課税が行われている。こうした場合には、財政のゆがみを是正したうえで「安価」にするか「高価」にするかを決めなければならない。
 財政のゆがみを是正して、財政が主権者である国民・住民の総意の下に置かれることを財政民主主義と呼ぶ。以上のことを抜きに、「小さい政府」か「大きい政府」かを論じることはできない。

財政民主主義とは―区民本位の財政のあり方とは

1 財政民主主義の歴史

 フランス革命にその源流を見ることができる。1789年のフランス革命は、国民が重税に苦しみ、宮廷や国王一家の浪費に怒り、大蔵大臣に財政の公開を要求し、これを公表したことがきっかけとなって起きた。
 その結果、革命が勝利し、フランス国民は国民議会を通じて、人権の保障のために最小限の税を払うが、その使用については議会が厳重に監視し、浪費や公金の私物化を許さないような原則を決めた。この原則が予算の原則と言われ、この時に定着した言葉が「財政民主主義」である。
 1871年のパリコミューンは、立身出世と業界の有力な地位をめざす、肥大化・特権化した官僚機構を、公務を執行する人々を労働者なみの給与で公共のために働く議員と公務労働者に置き換え、公金の私物化の道を防ぎ、行政への住民参加と行動する議員によって浪費と経費の節約の道を開いた。

2 財源確保策はいかにあるべきか

 勤労所得への軽課、不労所得への重課は、財政民主主義の一部分としての租税民主主義の確立といえる。
 目黒区では、所得2000万円超の所得層だけが急激に所得を伸ばしてきた。配当所得や株譲渡所得などが急上昇している。1人で40憶円もの区民税を支払うケースもあり、高額納税者が他区へ転出すれば大変な減収になる。この区税収入の構造的な不安定性が目黒区の特徴である。
 株でもうけた所得に30%(現在20%)すれば、区の収入はいくら増えるのか、かつては所管部長が即答したものだが、いまの理事者にはこうした考えがないからか、即答できない。
 消費税8%にした消費不況によって、目黒区でも地方消費税交付金が65憶円から50憶円程度に低下してきた。消費税10%による景気や家計消費の低下は著しい。消費税を5%に減税し、給与所得や営業所得を安定的に増やす道をめざすべきである。
 革新都政時代に、財政民主主義の立場で、東京都は国に財政論戦を挑んだ、いま、市民と野党の共闘の時代を迎えている。議会だけではなく、目黒区民が区財政について議論し提案し合う、住民自治の底力が、今こそ求められている。(終)

明るく住みよい目黒をつくる連絡会ニュース No224 より

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