全国初の「ネット・ゲーム依存症対策条例」の見解

こんにちは 芋川ゆうき です。

皆さんも聞いた事があると思います。

「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」

2020年2〜3月の香川県の議会で可決された条例です。

この条例の経緯について、日本共産党の県議・秋山時貞さんが「議会と自治体」に論文を掲載していましており、わかりやすいので共有をさせていただきます。(本条例について日本共産党県議2人は反対の態度)

かなり長文ですが、一気に読めてしまいます。

はじめに

 この条例は「県民をネット・ゲームから守るための対策を総合的に推進するため」として、県の責務(四条)、学校等の責務(五条)、保護者の責務(六条)、県民の役割(九条)、事業者の役割(十一条)、医療提供体制の整備(十四条)など、全二十条からなります。

 第十八条の「子どものスマートフォン使用等の家庭におけるルールづくり」では、十八歳未満の子どもを対象に「コンピューターゲームの利用に当たっては、一日当たりの利用時間が六十分まで(学校等の休業日にあっては、九十分まで)の時間を上限とすること」「スマートフォン等の使用(家族との連絡及び学習に必要な検索等を除く。)に当たっては、義務教育終了前の子どもについては午後九時までに、それ以外の子どもについては午後十時までに使用をやめることを目安とする」と規定されています。罰則規定はないものの、条例素案が出された当初から「ゲームは一日六十分」、「ゲーム規則条例」などとメディアで報じられ、全国的に大きな注目を集めていました(※最初の素案では「子どものスマートフォンの使用等の制限」として上述の時間の上限などの「ルール遵守」させるものと明記されていた)。

ネット・ゲーム依存とは

 そもそもネット・ゲーム依存とは何でしょうか。2011年7月よりネット依存治療研究部門(TIAR)を開設し研究や治療などをおこなっている独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターのホームページには、「インターネット嗜癖(しへき)の一致した定義はまだ見られていませんが、キンバリー・ヤング(Kimberly S.Young 1998年)によれば、『インターネットに過度に投入してしまうあまり、コンピューターや携帯が使用できないと何らかの情緒的苛立ちを感じること、また実生活における人間関係を煩わしく感じたり通常の対人関係や日常生活の心身状態に弊害が生じているにも関わらず、インターネットに精神的に嗜癖してしまう状態』と定義しています」とあります。
 また、世界保健機関(WHO)は、2019年5月に「ゲーム障害(gaming disorder)」を新たな疾病として「国際疾病分類(ICD11)」に認定しました。(試行は22年から)。ICD11の定義によると、ゲーム障害の特徴として「①ゲームをする事に対する制御が効かなくなる②ゲームに没頭することの優生順位が高まり、日常の活動よりもゲームをすることが優先される③問題が生じているにも関わらず、ゲームの使用が継続、またエスカレートする」とし、12ヶ月間、上記症状とその重症化による障害がみられる場合「ゲーム障害」と診断される、としています。
 厚生労働省研究班が18年8月31日に発表した調査結果によると、日本において「インターネット依存」の疑いがある中高校生は全国で推計約93万人(中高生全体の約14%、17年度末時点)にのぼるとのことです。

県議会で条例検討委員会がスタート

 こうしたことを背景に、香川県議会では「本県の子どもたちがネット・ゲームの長時間の利用により、心身や家族的・社会的な問題を引き起こすネット・ゲーム依存に陥らない対策を推進し、健全な育成を図ること」を目的として、19年3月8日に香川県議会ネット・ゲーム依存症対策議員連盟が設立しました。その後、ネット・ゲーム依存症の現状について研修会などをおこない、同年9月19日ネット・ゲーム依存症対策条例検討委員会がスタートしました。
 党県議団は、「うちの子ちょっとゲームのし過ぎじゃないか」、「依存症になったら怖い」などの、多くの親が感じている不安に寄り添う立場で、現実に困っている当事者、支援を求める家庭に対して、行政として責任をもって対策を講じることは必要であると考え、この議連および検討委員会にも所属していました。

 それまでの香川県のとりくみ
 検討委員会では、インターネットの依存やトラブル防止のために県や教育委員会のこれまでのとりくみなども振り返りました。県教育委員会は、学校授業における情報モラル教育や、携帯電話会社等と連携した「携帯安全教室」等の実施、県教委が養成した「さぬきっ子安全安心ネット指導員」を派遣しての保護者向け学習会など、さまざまなとりくみをおこなってきました。
 15年2月から、各市町教育委員会や県PTA連絡協議会等とともに「さぬきっ子の約束」(①家の人と決めた使用ルールを守ります②自分も他の人も傷つけない使い方をします③夜9時までには使用をやめます、として「我が家のスマートフォンやゲーム機等の使用ルール」を家庭内で話し合うリーフレット)を策定し、県内すべての児童生徒と保護者に配布して家庭でのルールづくりの重要性について啓発をおこなっています。

条例に必要な考え方−専門家の見解

 実際に国内でインターネット依存の治療や研究を行っている先述の久里浜医療センターの樋口進院長や岡田クリニックの岡田尊司院長を招き、依存の実態や条例に必要な考え方について意見を聞きました。両院長からは、「どういう姿勢でとりくんでいくか、理念が大切であり、ゲームのことだけの問題にしないであらゆる社会的サポートを充実させる事が必要」であり、▼実態調査がまず必要、▼国民の問題意識を向上させることが大切、▼学校での予防教育・依存症教育、医療の充実・人材育成など包括的対策が求められる、などの話がありました。
 中国や韓国でおこなわれているアクセス制限については、「有効性の検証が必要」として、”もし実施するなら”と前置きした上で、若年者には物理的アクセス制御(例えば「FATIGUEシステム)=韓国で一部実施。オンラインゲームを一定時間するとゲームの速度が下がる)が好ましいが、それができない場合は、午後10時以降のネットやオンラインゲームの使用制限など「未成年者の行動規範を示す」という意見が出されました。
 同時に、オンラインゲームに対する制限の制度策定はハードルがかなり高いこと、またいわゆる”ガチャ課金”(ゲーム内で利用できるアイテム等を実際に課金してユーザーに販売する方法)についても、業界の収益構造の改変(課金に依存しない構造)が必要となるため、いずれも業界に対する制限や働きかけも重要、との指摘がありました。

保護者や学校現場、関係機関・団体からの声

 PTA連絡協議会、小・中学校長会、子ども女性相談センターなど、県内関係団体とも意見交換をおこないました。
 そこでは、「ユーチューバーやプロゲーマーがなりたい職業の上位に。eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)もあるし、保護者としては子どもの夢を応援する立場で、ネット・ゲームを全否定はできない。やりすぎはダメだから子どもを守ための制限は必要だと想うが一律の時間ルールは難しい」という意見や、「ネットを上手に活用する力を育むことが大切。依存の問題については、現場の教員は知識もノウハウもない。すべて学校の責任でと言われると苦しい。関係機関との連携が重要」、「乳幼児期の育ち方で行動が体系づく。親や社会とのかかわりのなかで自分の欲求と周囲との折り合いをつけれる」などの声が出されました。
 また通信事業者からは、警察や法務局とも連携して、スマホの安全な利用について啓発活動をおこなうなどのとりくみの紹介と、家庭のルールに応じたフィルタリングサービスについて説明がありました。
 さらに、ネット依存・ゲーム障害対応として県内でこども外来をおこなっている病院の院長からは、「診療に来るのは男子中高生が多い」、「ネット・ゲームが自身の役に立ってしまっているため、本人の治療の意思が乏しい」、「相談・治療の拠点医療機関があると、啓発活動や関係機関への研修なども含めた連携が取りやすい」、「個人の責任にしないためにも、地域・学校・医療をつなぐときなど、支援者向けの共通マニュアルやガイドブックが必要ではないか」などの意見が出されました。

素案発表であきらかになった条例案の問題点

 こうしたもとで2020年1月10日、第五回検討委員会で条例の素案が発表されたことにより、事態は大きく動きました。「ゲームは一日六十分」、「ゲーム規制条例」とインターネットやマスメディアで大きく取り上げられ、「家庭教育に権力が介入すべきではない」、「時間制限の科学的根拠が乏しい」など批判が殺到しました。県内の高校生がこの条例素案に反対するインターネット書名を募り県議会へ提出するなど、大きな話題となりました。
 その後も、全国からさまざまな意見が寄せられ、検討委員会の委員である私のところにも、連日メールや手紙などたくさん届きました。
 そこでは、「『使用時間』について、個人の権限である『行為』の時間を法で規定することは、基本的人権に関わることであり条例になじまない」、「そもそも依存症の定義があいまい」、「子どもの権利条約に反する」、「長時間労働や低賃金など、家に親がいない原因の改善こそ必要」、「ゲームの過剰使用がどういう影響を及ぼすのか、その事実と科学的根拠の啓発がまず必要」、「治療資源の観点から見ても勇み足過ぎる」、「あるべき家庭像を設定して家庭に介入する思想がベースにあり、事実上の『家庭教育支援条例』だ」など、多くの個人や団体、研究者や専門家からも異論が出され、具体的に素案の問題点が挙げられていました。

党県議団の論戦−支援必要だが条例内容に疑問

 こうした意見もふまえて、党として繰り返し検討をおこない、条例案に対して以下のような立場から意見を述べ、論戦をおこないました。
 党県議団は、ゲームやインターネットによる依存や健康被害という社会問題について、現実にそれに悩まされている方がたへの支援として、予防も含めて行政がその責任を果たすことは必要だと考えます。しかし問題は、依存を危惧する当事者や保護者の声は当然あるなかで、この条例が本当にその想いに応えるものになっているかということでした。その点で、この条例案には大きく二つの問題点があり、それが議論を経ても最後まで解消されなかったことから、提案された条例案の採択には反対の態度を取りました。

 行政等の具体策見えないまま、保護者に責任押しつけ
 一点目は、保護者の責務についてです。この条例の全体を一つひとつ見てみると、その目的や基本理念をはじめ、県や学校、関連業務従事者などの責務や役割、国との連携など、網羅的に書かれていますが、いずれも具体的な内容がほとんど示されていません。一方で、第六条一項には、保護者の責務として「保護者は、子どもをネット・ゲーム依存症から守る”第一義的責任”を有する」と明確に規定されています。
 私は、引きこもりなどで悩まれている保護者やサポーターの方がたからもお話を伺いましたが、「これでは当事者の親としてはつらすぎる」、「条例で決まっているのに守られないから学校に来られないんだと言われるようになる」という意見が出されました。行政や関係機関が具体的対策をしっかりと講じていくことこそ求められるなかで、もっとも支援の手を求めている家庭や保護者に対して一番の責務を課し、自己責任を押し付けることは、本当に必要な人から支援の手が遠ざかり、さらなる孤立を生み出すことになります。これでは、行政の責任放棄だと言われても仕方ありません。

 根拠も実効性も疑問視された利用時間規定
 二点目は、ゲームやスマートフォン等の利用時間についてです。冒頭でも述べたように、条例第十八条には「一日六十分」、「夜九時および十時まで」と利用時間の規定が盛り込まれました。これについては、素案発表直後からSNSでは大炎上し大きな議論が巻き起こりましたが、「行政がプライベートに介入して、犯罪でもない個人の行為を規制するのは行き過ぎている」、「子どもからゲームを取り上げるだけで解決する問題じゃない」などの厳しい批判が寄せられました。
「いきなり六十分とか九十分とか言われても何の根拠があるのか」などの声も多く、専門家から「そもそもゲーム障害や依存の定義があいまいで、時間制限の科学的根拠が乏しい」と懐疑的な意見が出されていました。ゲームの利用時間を明記し遵守させようとすることは、家庭や個人の領域にあまりにも踏み込んだものであり、専門家でも賛否が分かれるような状況で具体的な時間をあげたところで実効性も疑問です。
 この点では、検討委員会は世論の批判をかわすため条例案を何度も変更しました。「子どものスマートフォン等使用時間の制限」としていた部分を「子どものスマートフォン等使用時間の家庭におけるルールづくり」に変更したり、使用時間の上限については当初案に比べて表現がどんどん柔らかくなって、素案では「上限」という表現でしたが、これが「基準」となり、最終的には「目安」と修正されました。
 そうなってくると、条例でわざわざ時間を明記する必要があるのか。規制ではなく目安としてガイドラインを示すというのであれば、県教育委員会によって「さぬきっ子の約束」(前述)など家庭でのルールづくりをサポートするとりくみがすでにおこなわれています。こうしたとりくみをすすめるなかで困難を抱えている学校現場や家庭へのさらなる支援として、行政が力を尽くしていくことは大切だと考えます。

異例のパブコメ二千六百八十六件

 私は検討委員として、条例の問題点などを指摘しながら修正を求めてきましたが、他にも表現の自由の問題など、もっと慎重に議論していく必要があると訴えてきました。そんななか、広く市民の意見を聞くためのパブリック・コメント(意見公募)において、とんでもないことが起こりました。
 香川県ではパブリック・コメントは一ヶ月程度期間を設けることが一般的ですが、4月1日からの条例施行を見据え、2月定例会(2月18日開会)に間に合わせるため、1月23日から2月6日までの15日間としました。また、意見を求める対象として、個人については県内在住者だけに絞るなど、従来よりも”狭い”対応となりました。こうした対応に、「ちゃんと声を聞く気があるのか」、「制定ありき、スケジュールありきはおかしい」など、全国から多くの批判が寄せられました。
 こうしておこなわれたパブリック・コメントでしたが、その結果はさらに驚くべきものとなりました。パブコメ募集終了後、再三に渡り結果の開示を求めるなか、一ヶ月以上経った3月12日、第7回検討委員会において初めてその結果の概要が公開されました。
 寄せられた意見は全部で2,686件、「賛成」の意見が2,269件、「反対」の意見が401件、提言等が16件であり、8割以上が条例案に賛成する意見だったと報告されたのです。
 県のおこなうパブコメは通常多くて十数件であり、文字通り桁違いの件数です。この異例の件数について、一部報道では、会社で上司から「まとめて賛成のパブコメ送るから名刺を貸してくれと言われた」(インターネットメディア「ねとらぼ」3月15日)などという情報まで出され、「民意を歪める賛成派の工作を許すな」と、内容をきちんと明らかにするよう求める声が多くあがりました。また、その後この問題は、KSB瀬戸内海放送や朝日新聞などのメディアでもくり返し報じられ、同じ文言のものや短い時間で連続して送信されたものが確認されており、パブコメへの「動員」や「名前貸し」の疑惑が深まっています。
 そもそもパブリック・コメントは、広く意見を集めるもので、住民投票とは違い賛否を問うものではありません。そうであっても反対の意見が400を超えるということは、やはり相当なことだと思います。これは、この条例がこく一部の限られた人だけの問題でなく、多くの県民の社会生活にかかわる重要な問題であるからにほかなりません。私は、寄せられた声をしっかり吟味して、時間をかけて十分に議論すべきだと訴えましたが、認められませんでした。
 このような経過を経て、1月10日に出された条例「素案」からは、先に述べたような文言上の修正はありましたが、県民から出された多くの疑問が詳細に明らかにされることも、それらに十分に応えることもなく、ほぼそのままの形で成案として3月18日に議会に提案されました。

世論に押され、議会の雰囲気に変化も

 もともと、会派として明確に今回の条例制定に反対の立場を表明していたのは日本共産党だけでした。しかし、条例の問題点や党県議団の立場、また検討委員会やパブコメのやり方についてなど、私がさまざまなメディアから取材を受けたニュースがネット上で拡散されると、全国的に注目され、県議会内の雰囲気も大きく変わってきました。
 自民党議員会(もともとひとつだった自民党会派が16年に分裂。新たにできた自民党香川県政会が現在最大会派となり条例制定を強力に進めていた)と協議し、「パブコメも全て公開されていない。これだけ県民から疑念や憶測が飛び交うなか、このまま採決に向かうのはおかしい」と党議員団と共同で、パブリック・コメントの全意見の早期公開を求めて検討委員会委員長に対して申し入れをおこないました。この事がツイッターなどで拡散されると、「共産党がついに自民党まで動かした」、「自共共闘アツい!」と大きな話題となりました。
 検討委員会委員長名で「パブリック・コメントに提出されたご意見の開示について」という回答が出されましたが、その内容に愕然としました。要点をまとめると、①閲覧できるのは検討委員会の委員に限定②公開は3月19日17時までのわずか1日半に限定③写真撮影や動画撮影、記載内容の転記、口外等は控える、というものです。
 条例の採決は2月定例会最終日の3月18日午前中におこなわれるにも関わらず、その採決の後に開示する、というおかしなものとなっています。しかも、そこで見た内容をメモすることや、他人に口外することは一切禁止されました。情報漏洩があった場合には、閲覧者全員が連帯責任を追うことを同意する署名を求める徹底ぶりです。一体何をそこまで隠しているのか−誰もがそう思います。
 条例制定に関わる議員は検討委員会委員だけではありません。議会において十分に審議をおこなうためには当然すべての議員に対して開示される必要があります。また、今回のパブコメに対する県民の疑念を晴らし、説明責任を果たすためには意見の内容を県民に知らせることが必要不可欠です。それにも関わらず、閲覧内容の口外等を禁止するなど認められません。
 こうした状況のなか、最初は条例に賛成の立場を示していたリベラル香川(立憲民主党、国民民主党、社民党、無所属の合同会派)とも共同して、共産党県議団・自民党議員会・リベラル香川の三会派で「パブリック・コメントの結果の公開に関して制限の撤廃を求める申入れ」をおこないました。しかし、結局最後まですべて公開されることなく、本会議の採決を迎えました。

強行採決による採択

 私は反対討論に立ち、条例の内容とその決め方の両面から問題点を指摘しました。7回に渡っておこなわれた条例検討委員会自体も「委員会の議事録が作られていない」、「冒頭の一部は公開だが、各委員の討論部分は非公開で、どんな議論がされてきたのか全く見えない」など、県民不在の”秘密会議”とまで批判されており、県民への周知や理解も十分ではありません。私は、不安や懸念の声が日増しに大きくなっていくなか、寄せられた思いに対して十分に議論することもせず拙速に採決することは、県民に対し責任を持った態度とは言えない、と強く反対しました。
 結果は、議長を除く40人中「賛成」22(自民党県政会、公明党、無所属)、「反対」10(日本共産党、自民党議員会)、「棄権(退席)」8(リベラル香川)となり、賛成多数で可決されました。本条例は20年4月1日より施行されています。
 強行採決によって可決されてしまった後も、「十分な検討や審議が不透明なまま採択・成立する条例のどこに民意があるのだろうか」、「権力者がやりたいと思ったらどうすることもできずに採択されてしまうってそんな民主主義あるか」などの批判が寄せられています。
 また、「香川から若者がどんどん流出していく」、「ゲームやアニメ関係のイベントもこれから少なくなっていく」など、観光や文化の衰退にもつながっていくのでは、という不安の声があります。

明らかになったパブリック・コメントの全容

 4月13日、報道機関の記者などが情報公開請求していたパブリック・コメントの「原本」が開示され、一斉に報じられました。報道によると、「パブリック・コメントへの意見賛成いたします。という全く同じ文面、改行のスペースまで同じものがたくさん」あり、発信日時も「2月1日の11時21分、22分、22分、23分・・・と短い時間に相次いで送信されている」としています。
 私も放送局に呼ばれ、初めて現物を見ましたが、「賛成です」「賛同します」というような一言だけのコメントも非常に多く、また「条例通過により、明るい未来を期待して賛成です」、「ゲーム依存により、判断の乏しい大人を生み出さない為に、賛成します。」など、全く同じ内容のものが百数十枚あり、複数のパターンで同様のコメントが寄せられているなど、通常のパブコメではおよそ考えられないものでした。
 「名前貸し」や「動員」によって、あたかも県民の大多数は条例に賛成しているかのように見せかける「捏造された民意」と批判されても仕方のない状況です。こんなことが許されていいのか、県議会がさらなる批判を受けることは必至です。条例に心から期待して賛成をされていた方に対しても、非常に無礼なやり方だと言わざるを得ません。パブリック・コメントの在り方が問われます。

行政の果たすべき役割とは何か

 今回の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」について、日本民主青年同盟の青年やその友人を対象に勉強会や意見交換かいを行ったり、大学の新歓アンケートなどで対話した新入生の中からも不安や不満の声が多く、子どもたちに意見を聞くことなく「ゲーム=悪」と決めつけた”押し付けられた条例”という認識をもっていました。
 いま新型コロナウイルスの影響で、全国の学校が休校となり、外出を自粛するよう求められているなかで、子どもたちのインターネットやゲームの使用時間が問題となっている家庭もあるようです。
 誰のための条例か。何のための条例か。行政の役割とは何か。私は、県民の声を聞き、しっかり見て実態を正しくつかみ、家庭や子どもたち、当事者や支援者、一人ひとりに寄り添った支援こそ必要だと考えます。
 それはけっして、「望ましい家族」や「家庭教育」、また自己責任の押し付けであってはなりません。そのうえで、わが子を思って将来を心配する親、ネット・ゲームとの向き合い方に悩まれている当事者や家庭の「助けてほしい。なんとかしてほしい」という声にきちんと応えていかなければなりません。私は、引き続きこの立場で、一人ひとりの声を聞いて思いに寄り添った政策の実現に向け尽力する決意です。

(あきやま・ときさだ)

「議会と自治体」2020年6月号 95〜101ページ

秋山県議のホームページ

https://akiyama-tokisada.amebaownd.com/

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